春日線香

鶏の手羽みたいな女が
高いところにずっとぶら下がっている
肌は青いペンキを塗ったように真っ青で
裸足の爪まで青紫をしている
表情は暗くて見えない
垂れた乳房の横に穴が空いていて
そこから音立てて蜂が出入りしている
あのあたりに巣を張っているのだろう
ぽたぽたと下に落ちる蜂蜜は
手で受け止めて舐めると甘い
舌が痺れるほどに甘い
風が強い真夜中などに女は
ゆっくりと揺れて嬉しげに見える


自由詩Copyright 春日線香 2020-07-05 20:17:40
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