ダイジョウブ
もとこ

今日も真夜中の向こう側から
たくさんの「タスケテ」が届く
本気もあればウソもあって
見分けるのはむずかしい

だけどアタシはとりあえず
見つけた全部の「タスケテ」に
「ダイジョウブ」って返事する
何が「ダイジョウブ」なのか
自分でも良く分からないし
何の根拠もないのだけれど

ずっと前にアタシが壊れて
夜の底で溺れかけたとき
思わず入力した「タスケテ」に
会ったこともない人たちから
「ダイジョウブ」と返事が来た
それが当然だというみたいに

その時の感情の色や匂いを
アタシは上手く表現できないが
とにかく素晴らしいものだった
それだけは間違いないのだ

だからアタシは今夜もまた
「ダイジョウブ」を放流する
端末の数だけある孤独に
到達することを祈りながら


自由詩 ダイジョウブ Copyright もとこ 2020-06-27 15:47:31
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