其は虚慢に非ず　神より賜りし巨万の富。
見よ（エッケ）　見よ（エッケ）　見よ（エッケ）　この恋人達を見よ（エッケ・アマンティウム）。
麗しい愛の女神に捨て置かれ
馨しい花の女神に朽ち果てられ
尚も花実の生らぬ念いに　身焦がす我らに

鎚を振るうてみよ　神槌（ミョルニル）でもって打ち砕こう。
鑓を投げてみよ　神鑓（ケラウノス）でもって打ち払おう。

みよ　みよ　みよ　この恋人達を撃ってみよ。
さすれば忽ち　己（うぬ）が身は神と為らん。

みよ　みよ　みよ　三代（みよ）に教え　諭してみよ。
我らを裁く神を育ててみよ。
三千代（みちよ）のうちに　その神は己（うぬ）が孫子孫を撃とう。

秩序（かみ）に愛されし恋人達よ　無秩序（あくま）と共に在れ
社会（せかい）が示す光源（シリウス）よ　死の勝利者（オシリス）の恵みを導け
いのちある全てのものは　その乳房を吸わせよ
愛ある全てのものは　夫（つま）を護れ
花嫁ある全てのものは　手を引き　花園へ連れ
その薬指に　鈴蘭の花で作った　指輪を通せ

その時全ての恋人達は　等しく試練を乗り越え
神の御代が続く限り　栄えるであろう

みよ　みよ　みよ　その二人をみよ

最早彼等は恋人ではなく　一対の枝である
命の有無　体の凹凸　霊の所有
全ては無に帰し　水泡となる
泡沫の夢を越え　実る全てに　神の威光をみよ

即ち
何人たりとも　汝（なれ）らの愛を侮辱すること能わず。
我は汝なりき（トゥー・フィー）　汝は我にならむ（エゴ・エリス）。
然るにこの愛は　汝（なれ）と読者のものなりや。