破舟
ガト

その昔

長くて
つらい夜を
越える舟が無くて

夜に溺れた

その岸には
誰もいなくて

忘れるほど遠い年月
そこで沈んでいたの

人の言葉を忘れ
人の心を忘れ

命のことさえ忘れたとき
突然夜が明けた

朝日の当たる岸では

旅人が
ただいまって言った


自由詩 破舟 Copyright ガト 2020-06-18 03:36:13
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