そんなことより大切な人生を
秋葉竹


小雨つづく六月、小さな
悲しみが路傍に立っている

嘘をつかれて、嘘を信じたのは
あなたの涙があまりに寂しげで

それが一番うそっぽいから
しずかに自死しようと歌った

私は私のことが嫌いだし
あなたの涙も好きじゃないんだ

そんなときその胸から
漏れだす声が聴こえるんだ

死にたいのか、殺したいのか
それがわからないままなのです

まるでむつごとを囁くような声で
そんな絶望が聴こえるんです

つま先みつめて立ち止まった
まるでレモンの飛沫の漂う空気の中

小雨つづく六月、小さな
悲しみが路傍に立っている

私を呪うかのような目つきで
幸せになるなんて許さないと歌う

そんなことより大切な
愛を、

私は、
この手から砂金みたいに

キラキラと、
こぼしてしまったというのに




自由詩 そんなことより大切な人生を Copyright 秋葉竹 2020-06-09 23:36:08
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