明け方のフォルテ
ゆるこ



午前四時と五時の間で世界は更新されている

深夜帯を泳ぐ
腹の膨れた子供たちの
ざわめきが 液晶越しに
蜃気楼のように 揺れている

更新ボタンをクリックしても
残像はどんどん 撃ち落とされ
気づけば一つの大きな魚になり
いろんな淀みを孕み始める

見つめても救われない

Wi-Fiは魂の入り口だ
交差する命を通す羅生門だ
越えたところで 殺し合おう
顔文字で 愛し合おう

細胞が 産まれ変わるために
人は睡眠を取るのだけれど
ネットで泳いだわたしの魂は
未来の渦に 半分飲み込まれている

空がだんだんしらんでいく

こころをすり抜け、色を付け殴られた
そのいのちを今日、また運んでいく
一日が始まる


自由詩 明け方のフォルテ Copyright ゆるこ 2020-06-09 00:50:33
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