電線とゆめ
三月雨


空を横切る黒い線

手を繋いで風に揺られる

交差点では

信号無視の歩行者が

一人、渡ればまた一人

ヘッドライトの流れに飲み込まれていく

濃紺に反転する手前の空の鱗雲

彼は見られているのか見てるのか

歩を進めて繁華街では

脂の匂い肉の匂い

腹を空かせた元気な亡霊

鉛のネオンに頭をやられて腐りきるまで

さあ続け 夢みるおれの、後ろに続け。





自由詩 電線とゆめ Copyright 三月雨 2020-06-03 19:13:50
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