JKだって自殺したい
ゆるこ



片田舎の単線はこころの隙間を
ゆっくり増やしてゆく時間がある
まるで泥水のなかを泳ぐように
深くヘッドフォンを刺す

信号のない、点滅した街の
壊れたコンクリートの道を
みんなに合わせた丈のスカートを
出目金のしっぽみたいに揺らめかせながら
死にそうな色の空の間を、
死にかけた魚のように泳ぐ

大人はいつだってピエロみたいに酒を飲み
夜の闇のような息を吐く
死にかけのJKたちは骨を軋ませながら
排水溝の先にある濁った笑顔を零す

ひたすら先をみて漕いでいても
ホームセンターで買った自転車ではどこにも行けない
私たちの世界の果て
夕焼け小焼けが鳴り響く

履き潰したローファー、靴下の抵抗
通学カバンのワンダーランド
井戸の中の恋愛、その別れ
単線の車内はいつだって
行き場を知らないJKの群れが
殺し合いを続けている

あの、夕焼けの先に行きたい
それでも日は早く沈み
朝は何度も訪れる
JKたちの魂が救われるまでのカウントダウンは
すでに始まっているのに



自由詩 JKだって自殺したい Copyright ゆるこ 2020-05-28 01:17:12
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