雨の唄
樹 なぎ

雨空を映した線路はどこまでも続いていく、

雨の世界、全てがぼやけて、単純な世界。

その雨の輝きが、
この街の根底に広がったわずかな光を発掘して、
大袈裟に映し出していた。

元の飽和した街に戻らないうちに、
心の琴線に、閉じ込めておきたい、
この雨の音を、向こうに見える、
雨上がりの空を。

そんな、
一つ一つの雨粒は、
この世界を閉じ込めて、遮って、

私たちは盲目になった。


自由詩 雨の唄 Copyright 樹 なぎ 2020-05-27 23:19:02
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