果実
ミナト 螢

真ん中に水平線がある
理想が消えないように
食べなかったから
同時に甘さを保存できる
後味を喩えようと
息を移して人は生きていく
柔らかい果実を盾にしながら
胸元で揺れる光を
カルタのように集めて
掴めそうで掴めない
だけど諦めてたまるか
くたびれた皮を剥いて
翼を落とした場所は
鏡には映らなくても
指で触れると跡が残った
君のしたたかさを丸めたい


自由詩 果実 Copyright ミナト 螢 2020-05-12 10:19:01
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