アーベント、もしも壊れてしまうなら
カマキリ




寄る辺のない気持ちが窓にもたれかかる
まだ頼りない虫の声に今は縋ってしまいそうだ
夜が早くきてしまうからと
机に引っかき傷をつけて出ていったあの子は
まだ庭先で落ちない陽を今度はにらみつける

寝癖はそのままでいい
あたたかさと戯れながら来ないでほしいものを順にならべて
むらさき色の煙を吐き続けている

薄い膜の中で引き返せない日々を選んで
音のしない時計を両手に持っていた
深い深い川を渡るとき通り過ぎていった街灯に
でしゃばりたちが口を回しはじめた








自由詩 アーベント、もしも壊れてしまうなら Copyright カマキリ 2020-05-12 00:32:41
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