哭き風
あらい

氷上に吐露した朽葉 時に流れる
季節はスライドを重ねる微粒子たち
誰のものにも二度と靡かない睫の艶
声帯を潰した天邪鬼の嫉妬も息が上がる
駆け足で滑り台を駆け どこへ行くか朔風

めくるめく月と陽を未来に反カエし
うらみつらみも並び立て、さまさま、
素と底に敷く。眼孔の恨み裏道、私は
小夜嵐に過ぎない

黒く塗る、折々。つづらにかさね、色目
数え歌を巧み、含んで下さいますか
焔を灯したものの仄かな便りは逆風とも
栞がいちまい、残されておりましたが
彼方に届けとばかりに、
あなたの思うがままに、
過去を綴じ薄紅の帳トバリで奔らせる

オモイモノ

求める侭に風声を尋ね、やはり信じていた
青い花弁を引き抜いて願いを込め贈りましょう

祖の冷鉄に強いて子の急行列車
赤花のおくるみを抱きお送りします
何時か誰かに結ぶ果実のように
首を刈られても、私は亘り手征く

私を好きに生かせば善い、窖の導き人よ
抱かれれば 一介、解け仕舞うは添う凪よ
どうか透きに、私のことなどお気になさらず


自由詩 哭き風 Copyright あらい 2020-05-10 15:03:14
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