雪の白さと炎と
opus

降り積もった雪の中で
世界は沈黙してしまった

雪の白さは
街のネオンを覆い隠し
喧騒を吸い込んだ

世界は終わってしまったと思われた

窓から明かりが煌々と灯された
人々がそれぞれの炎を焚いているのだ

雪は窓の形に沿って溶けはじめ
徐々にその姿は小さく失われようとしている

私は雪の白さに包まれ
その炎と共に失われてしまいたい

かつての世界は針に包まれ
騒音にまみれていた
頭痛はひどく
体が軋み続けていた

人の夢や
愛情や
情熱は
中々にして消えない
炎は暖かく力強い
人々は逞しすぎるのだ

とはいえ、私も人である
私も炎を燃やしているのだろう

だから、
今のうちにダイナマイトでも作って
この炎を持って
世界をぶち壊してやりたい

そう思いながら、
普段作らない肉じゃがに
火をくべるのであった


自由詩 雪の白さと炎と Copyright opus 2020-05-10 14:55:57
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