無題
立見春香


ひとり
寂しいワタシが
砂の穴を抜けてみても
つきの
静かな夜は
寒い

ひとり
小さいアナタが
火の花を食べてみても
ほしの
転がる夜は
寒い

夜空からたれ下る
いっぽんの青い糸を
ふたりは
かじかんだ指先で
つまもうとする

希望は
赤い牙をとおして
細い血管に流れこむだろう
仮面の
吸血鬼の
首すじへの
接吻


オアシスにも
サバンナにも
かみさまはいらっしゃいます

そして
この街にも

だれにでも視えるのに
だれにも視えないうすい影となって
つちくれを守るのではなく
いきものを守るために
いらっしゃるのです
かみさまは

ほら?

そこにも










自由詩 無題 Copyright 立見春香 2020-05-06 07:41:47
notebook Home 戻る  過去 未来