もぐら
もちはる

暇なぼくは
柔らかな土を掘る
面白くなって
掘りまくる

やがて
土深くから微風が
もっと下には青空が
頭を突っ込むと
引っ張られるように
落っこちた

草の上に転がる
ぼくは小さなもぐら
側で珍しそうに
見下ろしているのは
両足で立っている
もぐらのような人間
眩しがるぼくをつまみ
遠くへ放り投げた

真っ黄色の花
あれは*イペー
ここはどこなのか

目を覚ますと
梢がそよぐ新緑の楠木の下
逆転から戻ったぼくを
五月の風がなでる

       *イペー=ブラジルの国花


自由詩 もぐら Copyright もちはる 2020-05-05 10:23:23
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