ひかりの鳴声
むぎのようこ

またたきを
拾いあげては
また、
ひかりの鳴く方へ
皮膚がやわいままの
いきものが
のくのくと陸へ
あがる

裸足の、うらを
ざりざりと
砂がけずってゆく
こまかな細胞が
分裂をはじめては
渇いて
みずを求める
もう一度
くる頃には
もう、ちがう
顔をして

身体をかたちを
わすれても
かえる
いきものに
あぶれて
みずを飲みほす
たましいの
飽和した浜辺

やがてのまれて
皮膚も
なくなる
やさしいみずが
押し寄せて
つまさきすら
脱げて
かえる日を
ゆび折りして
ひかりが鳴いて
いたから
そっと、呼ぶ



















自由詩 ひかりの鳴声 Copyright むぎのようこ 2020-04-26 22:52:44
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