風になる
こしごえ

風になる
風は
見えないけれど在る
風は
わたしのほほをなぜる
無言の声だ
その声は
いつか
だれかのほほをなぜる

それは
雲を運び
山を越える
それは
木の葉をゆらし花をゆらし
鳥と空を共にする
風は
そよそよと光る
けれど時には
びゅうびゅうと声をあらげる
そうして種は飛んで
生きるために芽を出す
さまざまな わたしが
風を吸いこみ
言葉ではない言葉を発するとそれが
あたらしい
風になり
耳をかたむける林を通りすぎてゆく



自由詩 風になる Copyright こしごえ 2020-04-26 12:50:17縦
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