さよならごめんなさい
こたきひろし

天国までは垂れ下がった縄の梯子を必死になってのぼらなくてはならないらしい
それに引き換え
地獄には急な滑り台を一気に滑りおちて行けるらしい

でも
その真偽はわからない
誰一人死後の世界から生還した人はいないのだから
確かめられないのさ

人混みを避けなくてはいけない
人波から離れなくてはならない

群れをつくり群れの中で絶えず生きて来たから
一匹は辛い
生きる方向が霞んで見えなくなる



たとえずっと一人ぼっちを選んで来たとしても
側に群れがあったから
群れがあったからこそ孤独を感じられたのだ

まさか絶対的な孤独なんて求めたりはしていない

天国からぶら下がる縄梯子
地獄へと急降下する滑り台

自分は高齢者
持病もしっかりと持っている
ウイルスの格好の獲物になりかねない
命を狙われているかもしれない

天国にのぼれるにしても
地獄におちるにしても

どっちも変わらないような気がする

どっちも選びたくない


自由詩 さよならごめんなさい Copyright こたきひろし 2020-04-25 05:32:17
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