無限に広がる外の世界
邦秋

宙に浮かぶ石畳を、
鼻歌交じりにスキップで駆ける

両手には、憧れだったパピヨンを抱えて

マーブル色の新しい靴からは真っ白な羽根

そうだ、今僕は、天空のスタジオに向かっているんだ

空中でも幸いに潤ったイルカが僕たちを見ながら優しく通り過ぎ、
相変わらず向日葵の種を懸命に頬張るリスを僕たちが通り過ぎる

空は、かつて水彩画で描いたことのある
コバルトブルーとバイオレットが入り混じったあの色で覆われていて

空気は、あの日あの人が教えてくれた
ハンドクリームの柔らかな香りが漂っている

ライブ会場で開演前に流れる、低音が効いてリバーブのかかった、
初めて聴くのに無条件に格好良いと思ってしまえる音楽が、
今この空間に流れている

辺りには壁もスピーカーも無いのに


…楽しい架空を考え始めれば
外で過ごしていたら到底描けなかった
もう一つの外の世界が無限に広がっていく

そんな楽しいおうちじかん


自由詩 無限に広がる外の世界 Copyright 邦秋 2020-04-24 18:57:21
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