なにもなかった昭和に寄せて
梅昆布茶


夜更けに僕の勤務は始まる
夜明けに僕の勤務は終わらない
それとはあまり関係ないが

夜桜ばかりが散りかかる明治通り
では大正通りはないのかと考えたりするが
昭和通りはたぶん各地に点在するのだろう

上野から新橋まで昭和通りの下をよく走る
貫通するトンネルはとても大好きなドライバーの穴場
僕にとってのツールドTOKIOなのは内緒でもないのだが

誰も関心をもってくれそうもないので
それならば築地場外で海鮮丼を食したのち
晴海通りをお台場に抜けて海に逢おうか

そうなんだ
みんないっぱい自分のことを好きで
そのうえで
いつも通ってる〇〇通りを
しっかりさっぱり好きになってもらいたいんだ

アニミズムみたいに
いまある呪詛を滞りなく空に放って

いつかプラトンの国家論みたいに
あるいはマルクスの理想のように

紅い花よりも波長の長い色は不可視なんだね
紫が尊い色だとしてもそれより波長の短い色も視えないし
鳥は人間よりも紫外線領域の世界を感知して

はなむぐり風の糸をつたわって
春の歌くぐもってうたう機関車に

ここだけの話を紡ぐ翻訳機

窒息しそうに大好きな人がいたあの日
失速する日々を整理しようと思ってたんだけど

ぼくはうまれた時はちいさな塊だった
こころを吹き込まれいのちの融和をおしえられ

でも誰も愛せない時はなかったとおもうんだ

今も大好きなひとを
いつも好きなひとと

I’m going back home And
You can just come over here


































自由詩 なにもなかった昭和に寄せて Copyright 梅昆布茶 2020-04-21 03:25:15
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