タイムの妖精
丘白月

淡く赤く
想い出のような
タイムの花が咲いた

妖精の足音が聞こえる
密やかに
ハープの音のように

私は眠れない星の子供
窓を少し空けたまま
香りをひとりじめして
夢の入り口を探してる

寂しい夜は手紙を書いて
タイムの葉を入れる
宛名の無いままに

ポストに落としたなら
香りに誘われ
妖精が取り出してくれる

眠れない夜に生まれた
なぐさめの香りが
真っ白な便箋を愛する

一緒に眠ろうかと
妖精が言った
うん と返事をした


自由詩 タイムの妖精 Copyright 丘白月 2020-04-20 21:50:29
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