丘白月

お昼休みにだけ
あなたを見つめてた
あなたの借りた本を
いつも次に借りる

あなたの名前の下に
私の名前を書く
ただそれだけで
胸を熱くしていた

転校すると聞いた日
最後の図書カードに
私は済のハンコを押して
そっと手作りの栞を渡す

僕の栞も貰ってと言った
いつも借りた本に
栞を挟んで返していたと
気づいて欲しくてと

私のイニシャルを
書いてくれた栞が幾つも
言葉の海に沈んだまま
長いあいだ今日を待っていた

遅いなんて思わない
知らなくて良かった
別れを飾る言葉は
本に挟んだままでいい


自由詩Copyright 丘白月 2020-04-20 21:50:00
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