自分の身には
こたきひろし

詩を棄てて街に出られなくなった
花が満開の季節なのに

見えないものに怯えてばかりいても
神経を病むばかりなのに

詩を忘れて夜に出られなくなった
欲望の渦巻くこの体には
ブレーキが軋んでいるのに

上流詩人じゃない
下流詩人でもない

役に立たないPRIDEなんて最初からゴミ箱に棄ててある

突風に煽られる
一枚のぼろ布にも値しない
俺の吐き出す詩編

さっさと詩を棄ててしまえば
いいのに
風に飛ばされて引っ掛かった電線で
震えながらたえている

詩を棄てて街に出られなくなってしまった
満開の花の木の下には人の死体が埋まっているかも
知れないのに








自由詩 自分の身には Copyright こたきひろし 2020-04-04 06:32:58
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