他人は他人どこまでも他人
こたきひろし

心偽りなく言えば
良い人でいるのは非情に疲れる
良い人を維持するのは
根気と忍耐を必要とするから

だけど良い人にはみられたい
良い人にみられないと
生きているのに不便で都合がわるいから
良い人にみられたい

要するに
私は表面的には良い人を演じている
演じながら
社会の歯車の一輪になって回ってる

その有り様は
まるでハムスターだ
滑稽で悲しい
かもしれないけれど

俺は俺で俺以外の何者でもない
産まれ落ちた時から
今まで
俺は俺で俺以外の何者とも交代できない
これから先も
命を仕舞うまで

他人は他人どこまでも他人
俺以外の何者かに過ぎない
という事実

俺には妻がいて
娘が二人いて
家族という繋がりでお互いを
縛りあっていたい

それで安らぎ平安が保たれている

他人は他人どこまでも他人
心の底では
何も信頼していない

だけど良い人にみられたいから
笑顔は絶やさない

そんなわけないか

普段から
無表情無関心を装っている

少なからず
コミュニケーション能力に欠けている
ばかりでなく

他人に付け入る隙を与えたくないからだ

その為に
マスクはかかせない

昨今のウイルスよりも
侵入を拒んでいる




自由詩 他人は他人どこまでも他人 Copyright こたきひろし 2020-04-03 00:03:09
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