芝桜の妖精
丘白月

滝のように庭を流れ
壁を落ちて
風にゆれて花が
泡のように溢れる

妖精が幾つも色を並べる
隙間なくパズルのように
そうして誰も入れない
世界を描いていく

どんなに小さくても
誰も踏むことはできない
見下ろしたとき
妖精と目が合うから

白い羽根が見える
モンシロチョウの
細い触覚が踊る
妖精が追いかける

無限の花壇の芝桜に
ひこうき雲のように
真っ白な光がふたつ
恋人のように流れていく

花の上を滑って
滝に落ちる妖精と蝶は
言葉をかわして
いつか同じ国の住人になる



自由詩 芝桜の妖精 Copyright 丘白月 2020-04-02 21:26:00
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