駆除の正当性が再発見される前段
なけま、たへるよんう゛くを

いい加減迷信が疎ましくなった当たりからか、お腹に切り傷が開いてあって、両端のないミミズが絶え間なくこぼれていくのがわかった。このしようのない破れ目の為に僕は縫い針か、全く反対によく切れるナイフさえ手中に収めちまえば、金輪際身嗜みに気を揉まずに済むのかと考えたりもする。世の中的には全国的に電波拡大と報復合戦ばかりらしくて、殺人鬼かゾンビしかいない素敵な箱庭が出来上がっちまっていた。殺人鬼は殺人鬼の種を撒いて刈り取ったり、刈り取られたりする。生き物だからね。少しは気立てのいいやつは、こんな無法地帯で法を犯すのは空虚だ、本当の喜びじゃない!だなんて危うく環境論者に転向しかけたっけ、頭っからかじられちゃったんだけど。ゾンビは食べ物に困らない。異常者とゾンビは一絡げで野に放逐されたし、それで余計に変則的なゾンビが増えた。親切で見切りの遅い人々は早死にして今じゃ昔話の仲間入りだ。

歩く度に呪われていくような実感の雲がよぎる。はたして内情殺人鬼だから痛みがないのか、ゾンビだから命で遊びたがるのか、自分で自分がわからなくなっていた。頼むから、僕のまともを疑わないでやってくれ、お門違いだから。頭の中で頭の外が膨らんできて、がちゃがちゃとがなり立てる大げさな音が不快だ。僕の腹を裂いたやつをどこかで見かけたなら、『うーあう』とはっきり言ってやろうと思う。薬でもやってるのか?いいや。そんなもん、高が知れてるぜ。本当に楽しいのは、花畑をそっくり敷き詰めたメリーゴーランド、人間の皮製品を物色すること、たまのピクニックや痴話喧嘩、宇宙脱出艇に群がること、久しぶりに飲む湯気の立つ生き血、身内の死にっぷりを無差別インタビューして回る平日午後、まとめちゃうと、誰かとの温かな触れ合い。


自由詩 駆除の正当性が再発見される前段 Copyright なけま、たへるよんう゛くを 2020-03-31 04:52:59
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