トラの断捨離を知らないリス
朝焼彩茜色

要らぬ物が部屋の片隅で圧迫し

果てしない程の膿が溢れて噴火した

要らぬ家具の類に家賃なんて払えない

要らぬ物 要ると聞かれ要ると答えたリス

トラは要らぬと云ったのに 

意思の疎通から夫婦をやり直そうか

嗚呼 何故そんな物を貰って来たのか

この大地に絶対意志を突き刺して問いたい

物に念が宿っている 膿が溢れて噴火した

鎮火の散歩に出かけて 傘の盾にもかかわらず

太腿が冷える 桜に途方に暮れていると告げ

物への念が私に跳ね返る 憎悪の念

要らぬ物を放置できない

今直ぐに破棄したい

粗大ごみ

人に物を譲る時

要らないなら捨ててと云う

されど 捨てる手間の煩わしさを

リスは何も知らない

嗚呼 煩わしい物が部屋の片隅で吠えている

こんなこと如きで 狩りに行けない

腹は減る 煩わしい物に向かって吠えている

リスは首を傾げて両手を握っている

物をくれるな 物をくれるな

とりあえず 貰うな 物を貰うな

こんな容易な取捨選択もできないリスを

腹が減っていたからね

もういいよ 喰ってやるね

こんなこと如きで


自由詩 トラの断捨離を知らないリス Copyright 朝焼彩茜色 2020-03-28 22:28:29
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