雪が解けて・・
Lucy

    *

芝生の上で
むっくり起き上がる
一枚の落ち葉

長い間のしかかっていた重しが消え
身体も乾いた

深呼吸すると
葉脈の透けた胸にも
風が流れ込んでくる

もう一度
転がり始める
風が背中を押してくれる


    **

雲が分厚く覆うので
今日は夕焼けが見えない

懸命に
空に向かって両手をひろげ
まるで順番を待つように
並んで立っている樹木たち

霧雨に溶け込んで
夜が降りてくる


    ***

どんなに浅い水溜まりにも
青空が映る

梢の影に沿って歩くと
その枝に
鳥の影が来てとまる

今 飛び立とうとしていた枯れ葉を
私の靴が踏みつける


    ****

散歩しながら
はる
はると声に出してみる
通りかかった車庫の前
乾いた地面にお腹をつけて
日向ぼっこしていた猫が
顔を上げる

はるっていう名前なの?





自由詩 雪が解けて・・ Copyright Lucy 2020-03-28 19:08:14縦
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