YELL
ミナト 螢

大きな旗を振れば
君はすぐに消えてしまう気がした
羽ばたいてゆく翼の前で
青いものは温度を忘れていく
空やスカートやさよならの言葉
貫いた心を保存している
ジップロックを開けたい時は
君の匂いが窓になるように
僕の嗅覚は敏感なままだ
鼻の穴に夕陽を沈ませて
夜になると冷えた文字が伝う
永遠はもうどこにもないのに
くしゃみの中を歩く思いが
君を汚すことがなくて悔しい
水面に集まる桜の花びらが
僕の顔をまだ映せずにいた


自由詩 YELL Copyright ミナト 螢 2020-03-28 12:16:20
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