コットンの雲
丘白月

一つ季節を越えて
一年歳を重ねて
一人旅を始めたのが
昨日のことのよう

夢の中で夢だと分かって
覚めないでと願った日々

色はあせて
日に焼けて
気づかないうちに
すこしづつ
変わっていく

閉めきった部屋で
空気が揺れて
問いかける

そこにいるの?
言葉を許されないの?

見えない命が
部屋を埋め尽くしてるのに
夢でしか見ることができない

追いかけても
すり抜けていく風のように
温もりだけを残していく

満たされない想いは
今はただ綿花のよう

綿アメが咲いたよ
入道雲のみたいな
夏の音が聞こえそうな
雷様が中にいそうだね

想いはいつか
雷雨になって落ちていく
でも見えない君は
優しいコットンの妖精と一緒に
大きな綿で受け止めてくれる

だから夢のあとは
泣いてもいいよね


自由詩 コットンの雲 Copyright 丘白月 2020-03-27 23:00:12
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