糸屑の詩
ミナト 螢

掴めなかった糸なら
そっと肩に置いて
誰かに気づいて貰いたい
優しく振り払うよりも
その指先で空を縫うように
いつかの傷口を庇えるから
針を持たないで出会えたら良い
大の字になった糸屑は
過去を未来へ伝えに行くため
同じ場所でくすぐり続ける
これが人ならば離さないでしょう
痛みを忘れてしまうくらいに
白い目印の恋人たちが
風を仰いでも繋ぐ手がある
糸が空へと別れていく時
その通りに歩けなかった
どちらかに偏りながら減らす
踵の裏がまだ熱くしなる


自由詩 糸屑の詩 Copyright ミナト 螢 2020-03-27 19:41:45
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