暗いと不平を言うばかりの人
こたきひろし

暗いと不平を言うばかりの人がいる
それを聞くにたえられずに
手探りで明かりをつけた人の目は
視力を失っていた

眩しい光は嫌いだ
たえられない
と言って
暗い部屋に籠る人

その心に巣を張り巡らした蜘蛛
その正体は見えない

空はいつから蒼くなったか
雲はいつから空を流れだしたか

時間は止まらない
時間は止められない
時間を止めてしまいたい

暗いと不平ばかり言う人になろう
誰かがその内に
明かりをつけてくれるから

明かりをつける誰かになるのは
きっと辛いから

きっと辛いだろうから


自由詩 暗いと不平を言うばかりの人 Copyright こたきひろし 2020-03-27 06:31:31
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