緑の風を見ていた
Lucy

ざわざわと
視界を埋めて啼き騒ぐのは
梢で触れ合う
青葉たち


輪郭をなぞろうとすると
否定形しか使えない
あまりに崇め過ぎたから


信じるということが
見ないという事でしかないなら

ひらりと風にさらわれた
一枚の病葉が
私なのですと言い張った

何も与えてくれなくていい
すべてを赦し
すべて美化して
私ではないものを私に重ね
私を透かして
向こうの緑の風を見ていた
まなざし

あなたは神でなければならず
私に触れてはならなかった





自由詩 緑の風を見ていた Copyright Lucy 2020-03-24 21:56:36
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