点滅
木葉 揺

人に向かって歩く
遠くに見える人
人が点滅する
そうして人は消えてゆく

離れている時はつながっていた
いくつそんなため息をつけば
光を育てられるのだろう
もうたぐり寄せるものもなく

ただ人がいたはずの場所を
確かめている
湿った震えだけ残されて
それをもとに何か作れるかもと
しゃがんでいる
足が痛み始める

あれは人だったのか
立ち上がって目眩を覚えると
別のものを探そうとするけれど
ちらつく
その気配が人なのだと
また思ってしまう
人ほど不確かなものはないのに


自由詩 点滅 Copyright 木葉 揺 2020-03-22 23:59:46
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