君の声
丘白月

君がいなくなってから
影ばかり追いかけてる
誰も居ない部屋で
帰ってくるはずもない
君の足音を探してる

網戸に残る去年の
タンポポの種

タンスにしまったままの
一度も着ていない洋服

春になったら一緒に歩くと言った
あの公園の桜のアーチ

もう一度だけでいいから
声が聞きたい

もう一度だけでいいから
手をつないで歩いて

池を埋め尽くす蓮の花を
綺麗だねと言って目をみて

君は一人で蓮を渡ってしまった
誰が迎えにきたというの

僕はもう春を待てない
誰と寄り添って歩けばいいの

終わりのない歌を繰り返し歌ってる
君の声が入って来るのを待っている

もう一度会いたい
もう忘れてしまっただろうか

蓮の花の上で待っていればいいの
それとも僕もいってしまおうか



自由詩 君の声 Copyright 丘白月 2020-03-20 22:33:24
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