魔女と月
秋葉竹

ひょっこり魔女がやって来て
箒でお掃除するでしょう、
帽子は中折れするでしょう、
夜はこれから更けるでしょう。

ビルの谷間を翔ぶでしょう、
その身を凍らすビル風は
魔性の心を呼び覚ますでしょう、
──魔女が魔法に呑み込まれ。

月はすっかり素面でしょう、
けれどすこしは照れるでしょう、
魔女が月へと翔ぶときに
街は華やぎ祝うでしょう。

わたしはそのとき知るでしょう、
彼女の心の底の底、
ただれる闇さえ見るでしょう、
──そして彼女を好きになる。

ひょっこり魔女がやって来て
箒でお掃除するでしょう、
帽子は中折れするでしょう、
夜はこれから更けるでしょう。




自由詩 魔女と月 Copyright 秋葉竹 2020-03-20 14:40:03
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