春風
はるな


春風が つよくふいても
なびかないで立っているのに
触ればそのぶん減っていく
きみの 強さと弱さ

  コンクリートと
  まぶしさ を
  並列に考える
  どうして永遠が
  無いって思うだろう?
  こまかくカットされたガラス、
  そのひとつひとつに光が入ると
  まるで世の中が本当みたいに
  浮き上がってくるんだよ

きょう
手のひらにのるくらいになった
きみに
どうしてもきっと触れてしまう
ぼくの弱さ

 右手と左手の
 どちらが鳴ったのか
 落とした花瓶が
 割れずに着地する確率
 事象はすべからく液体
 容れ物に即している
 あふれようと望みながら
 それなしでは保たれない

透明な君から
あふれてくる君たち、
溶けあっている君たちの
強さと弱さを
判別しない
ぼくの弱さ


自由詩 春風 Copyright はるな 2020-03-16 19:31:01
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