知らない話
チアーヌ

知らない駅の改札を出ると右に曲がった
四車線の道路があり
階段がいくつもの方向に分かれている
大きな歩道橋を渡った
焼肉屋からは
肉の焼ける匂いが流れ出ていた
これが鰻だったら
たぶん帰っていた
肉が焼ける匂いは
わたしの気分を邪魔しなかった
焼肉屋の向かいのコンビニに入った
後方の冷蔵庫から
ミネラルウォーターのペットボトルを取り出す
蓋を開けると床に中身を零した

知らない夜に高架下のガードレールを跨いで
ぬるい川に潜りゆっくり遡った
向かい合う人の顔がわからない
あなたは誰ですか?
この際だから
「月がきれいですね」
月ってそんなにきれいかな
まあいいや
これも何かのご縁

何度も何度も同じページを捲る
最後まで読んでないけど
もういらないからあげるね
その本



自由詩 知らない話 Copyright チアーヌ 2020-03-12 16:27:24
notebook Home 戻る  過去