白い森
丘白月

雪で埋め尽くされた森の
ずっと下から音が聞こえる
小さいけれど
響くような音が

野ウサギが立ち止まり
長い耳を立てて左右に振る

深いオークの森が
どこまでも神聖な
空気を漂わせ
ドングリの実も
雪の下で冬眠している

一匹の子熊が歩いてくる
目をこすりながら

ウサギを見つけて
眠れないと言った

足元から聞こえる音は
子熊の親の寝息だった

怖いんだ
眠ってしまったら
もう朝が来ない気がして

ウサギは優しく言った
心配ないよ朝は来るし
もっと素晴らしい春も来るよ

夏に生まれたばかりの子熊
春をまだ知らないけれど
すごく嬉しそうに笑ってる

ウサギの耳の後ろに
妖精が立って
子熊を優しく見つめてる

大丈夫あの子は
安心して眠るわ
オークの妖精はそう言うと

ウサギの耳のような
白い羽根を広げて
飛んで行った



自由詩 白い森 Copyright 丘白月 2020-03-11 11:47:12
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