真葬世界
ミナト 螢

光の輪の中で天使になった
鼓動の音がトラックに轢かれて
そのたびに分裂する心臓は
耳の穴を塞いでしまうから
音を立てるように絵を描いた
底の割れたコップが空になって
遥かな距離を近くに思わせる
希望みたいな絶望があるなら
誰も逆さまにしなかっただろう
レンズがあれば言葉があふれても
飲み込む前に蓋をするのに
カクテルの材料を混ぜていた
横切る視線が心を刺すと
曖昧なままの境界線が
永遠という時間を探した
世界に足りなくなるくらい
青を放てる人になりたくて


自由詩 真葬世界 Copyright ミナト 螢 2020-03-09 10:31:35
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