サイネリアの妖精
丘白月

誰もいない小学校の裏で
ポタポタと屋根の雪が溶けて落ちる

誰も見ていない小さな花壇で
小さな二色の花びらが朝日を浴びる

新学期の声が遠くから聞こえてくる
雪を踏む足音が近づく

まだ出来たばかりの
新しい1月
神様が止めたといえば
今日は来ない

妖精は神様の希望に応える
月から聴いた言葉を
花壇に一晩で並べる

子どもたちに
おはようと言う
聞こえないかもしれない

でもきっと心の底に
ゆらゆらと降っている
笑顔を作りながら


自由詩 サイネリアの妖精 Copyright 丘白月 2020-03-07 22:33:25
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