ひとりきり
帆場蔵人

ひとりぼっち、の人は
ひとりぼっちの景色を

知っていて

遠くを静かにみつめている
たまに夜半の丘に立っては
叫んだり泣いたりしている

眠れば星雲の渦にまかれて
わからない ばかりの銀河を
考える人のポーズで 億年も
浮遊して考えずに考えている

いつも陽が沈んでいく泣いたり
笑ったり、笑われたり、躓いて
ながくながく一本だけど、ながく
伸びた人びとの影に微笑んでいる

ひとりぼっち、の人は
ひとりぼっちの景色のなか

雨ざらしの丘を登って
みえるすべてに手をふり
枯れた花の墓を掘る

最終電車がゆき船が港をでていく
また一日の背中が角を曲がり消えたら
電柱に背中を預けて考える人のポーズで

ひとりぼっち、で
墓守りの歌をうたい
まだ遊びたりないから
ひとりぼっちで
遊び、生きている


自由詩 ひとりきり Copyright 帆場蔵人 2020-03-07 16:04:09
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