こころとか記憶とか生きていくとか
かんな

知らぬまに
小石を投げつけてわたし、わたしに
その水面の波紋は
かたちを歪ませて、きっと
こころとか
生きていくとか
そういうものの足元を崩していく

きいてほしい話は
きいてほしくない話と
きっとずっといっしょ、

あの湖の
真ん中にむかしむかし沈めたもの
いくら洗たくをしたって
きれいにはならない
記憶とか
死んでいくとか

そういうものって
過去は過去でしょ。

誰かのつよさって
かんたんにひとをきずつけるよね、
わたしもよく知ってる

拾いあつめた貝がら
もちろん中身はなくて
耳にくっつけるとむかしむかし
深く沈めたわたしの声

ききたくない話は
きかなきゃいけない話と
きっとずっといっしょ、

夕日が沈んでいく
あたりまえに
ただあたりまえにきれいなことが
わたしをひどくかなしくさせる

涙をながすたび
きっと湖は深さをましていくから


自由詩 こころとか記憶とか生きていくとか Copyright かんな 2020-03-04 15:53:51
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