目が覚めたら
こたきひろし

ある朝
目が覚めたら
周囲の環境はがらんとしていた

それで
まばたきした
耳をすませた
火がついたように泣き出してみた

その時布団の上に寝ていた私は
明らかに幼い子供だった
たとえるなら
赤ん坊に毛が生えたくらいかな

家の中は誰もいない
人の気配が感じられなかった

赤ん坊にはえた毛が
きっと物心だったに違いない

私はその時がくるまで
自分が何者で
何処からきて
どこにいるなんて
何も意識していなかった

無我無意識の生き物だだったのだ

それがある瞬間
意識に目覚めた
目覚める事がゆるされた

その事に
私以外何者もまだ気づいてない

気づかせてあげなくなくてはならない

私は声をいっぱいに張り上げて泣いた

するとどこからか女が一人あらわれた
その女はいとおしむ眼で私に近づくと
抱き上げた

その体臭から
私は母なる人の存在に気づかされた

本能的に

そこから私の旅は
本格的にスタートしたのだ
ろう?






自由詩 目が覚めたら Copyright こたきひろし 2020-02-29 08:56:54
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