待ち合わせ
たもつ

 
 
待ち合せの間に珍しい植物を育てる
自転車に乗って行く
種は割と雑にして水は毎日あげる
毎日は確かにあって
待ち合せまではもう少し時間がある
ついでに自転車の錆を落とす
ホームセンターのフロアを歩き
チェーンに差す油を買いに行く
準備が整っていると待ち合せ場所に
待ち合せの相手が来て
やあ、と言って
やあ、と言う
この人が自分にとってどれくらい大切な人か
測るにしても皆と同じような言葉しか話さない
せっかくなので、と相手から言われて
珍しい植物の果実を一緒に収穫する
待合せの間手塩に育てた植物の果実が
この人に収穫されるのだと思うと
自分の何が悪かったのか
教えてくれる人はもう誰もいない
それでも皮を剥いて食べれば
見た目以上に美味しいと
意見の一致がみられた



自由詩 待ち合わせ Copyright たもつ 2020-02-27 20:33:08
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