デス・スター
たもつ

 
 
父と僕の妻が併走する
妻にとっては義理の父
僕にとっては実の父
父とはそういう人だった

ダース・ベイダーにとってルークは実の子
ソロは義理の子
フォースも使えないし、
カーボン凍結で囮にするくらいしか
使い道のないならず者が義理の子になるなど
ベイダー卿が御存命ならば大層お怒りになられただろう
僕が結婚して
両親は良い娘ができた、と大層喜んだ
妻とはそういう人はだった
今もそう

父は要介護となり痴呆も入った
体が動かなかったので徘徊はなかったけれど
心はいつも旅をしていた
心は走り続けた
妻は仕事を辞めて父と併走した
デス・スターはまだかい
義父さん、デス・スターはもう破壊されたでしょ
(俺達か破壊してやったんだけどね)
ダース・ベイダーとはそういう人だった

父は僕が帰宅する前に他界した
最期を看取ることはできなかった
血の繋がりより
併走し続けてくれた僕の妻を選んだのだ
僕とはそういう人だった
今もそうなのか
恐くて妻には聞けない



自由詩 デス・スター Copyright たもつ 2020-02-26 21:06:30
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