教室
こたきひろし

学校には道徳という授業があって
ぼんくら頭の俺には
眠いだけの時間でした

起立

着席

いつも心の底で思ってました
こんなの省略してよくないかって

その日
先生は道徳の時間を使って
怖い話をしてくれました

それは藁の人形に釘を打って
人一人呪い殺す話でした

それは別段珍しくない話でした
よく聞く内容でした

何で先生はそんな話をするために
道徳の時間を潰したのでしょうか

道徳の授業がそれに相応しいと思ったのか
道徳教育に反抗心を剥き出しにしたのか
未だに謎です

それは男に遊ばれて捨てられた女の話でした
けして中学生の教育に好ましい話ではありませんでした

不道徳な内容でした

騙されて裏切られた女は復讐を決意します
何と女は子供を孕んでいたのです

呪い殺人が果たして成功したかどうかまで
先生は話してくれませんでした

そこにいたる迄の過程を熱心に語ってくれました
教室はしんと静まり返って
生徒たちは聞き入ってました



自由詩 教室 Copyright こたきひろし 2020-02-26 00:31:28
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