ペプシ・コーラ
竜門勇気


君は コーラを買った
自動じゃないドアを
少し息を止めて押し開けて
その息を世界へ吐く

ペプシはなかったよ
自動車のドアは断絶だ
いつもそうで 今日もそうだった
コカコーラはうまいか?
そんなもんは捨てたほうがいいと
僕は思う
それはただのコーラだ

点滅する赤い信号が
ひたすら僕を乾かせる
ペプシはなかった
ガードレールの向こうで
ウルシが枝を広げている
断絶の外で起こる営み

知らないだろうけどさ
もうこの世界にペプシコーラは無いんだ
そうなって欲しがっても遅いぜ
けぷ
今 この世界にペプシはいないんだ
どれだけ恋焦がれて
叫び 乞い 落涙しても
もう遅いのさ
けぷ

手を伸ばして
日除けを掴みながら
あくびをする

スーパーマーケットは9時にはあくから

君はまだどれほど世界が悲劇に満ちてるか知らない


自由詩 ペプシ・コーラ Copyright 竜門勇気 2020-02-26 00:12:08
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