たもつ

 
 
苦い紙を足していく
食べ砕く
本当は駄目だって
みんながそういう話をしている
みんなは不特定多数
一様に挨拶をしていく
風に揺れて紙を足していく
誰も食べないし
砕かないし
僕は朝から紙以外のものは
食べ砕かないし
苦い
カーブが甘く入りましたね、と
解説の◯◯さん
◯◯さんは不特定多数
挨拶など、丁寧にする
路地裏だって緩やかに歩く
カーブは甘くもなるのに
紙はねえ、ならないんですよ、
と解説する◯◯さん
そして足していく
食べ砕く僕の身体は
徐々に薄くなって
眠りに落ちていく
紙のまま、ずっと
 
 


自由詩Copyright たもつ 2020-02-25 23:29:59
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