君の街まで
ミナト 螢

この前とは違う洋服を着て
褒められる自信なんてないけれど
そうやって知らないうちに増えた
物語を連れて行きたくて
斜め掛けの鞄で潰す胸が
メロンパンみたいに膨らみ
君が待ってると考えただけで
十歩先の景色に挟むフィルムを
巻き戻すように早送りする
海岸通りで曲がるカーブに
空が近づき美しく感じた心を
額に入れて飾って置いたら
いつでも君がいちばんになるよ
僕のために走ってくれるなら
そこが橋の真ん中だろうと
柔らかい頬に指を灯して
もう君の街へ着いたと思う


自由詩 君の街まで Copyright ミナト 螢 2020-02-25 07:50:15
notebook Home 戻る  過去 未来